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生まれは日本か中国か。マレーシアで人気のソウルフードとは?

クアラルンプールにあるショッピング・センターの一区画。「トーキョー・ストリート」には、日本の飲食店や雑貨店が集まっています。

クアラルンプールにあるショッピング・センターの一区画。「トーキョー・ストリート」には、日本の飲食店や雑貨店が集まっています。
 

古くは「スシ」「ゲイシャ」「ニンジャ」。最近では「スードク」。海を渡って世界で使われていると言われる日本語がありますが、最近ではどの国でどんな単語が用いられているのでしょうか。世界80カ国以上の現地在住日本人ライターやカメラマンの集団「海外書き人クラブ」がリレー形式で担当する連載「世界のニホンゴ調査団」。第7回はマレーシア在住の森純がレポートします。

マレーシアでも人気のJapanese Food

東南アジアのマレーシアには、約2万4千人の日本人が住んでいることもあって、寿司や天ぷらといった伝統的な和食や、定食メニューを出す店は結構あります。

地元の人向けの店でも Bento(弁当)や Beef Bowl(牛丼)などがあり、日本の食べものは身近な外国料理として親しまれています。

首都クアラルンプールにあるショッピング・センター「パヴィリオン」には、日本をイメージした店が集まる「Tokyo Street(トーキョー・ストリート)」という一角があり、週末には若者などでにぎわっています

軽い食事やおやつも人気があり、最近ではUdon(うどん)、Takoyaki(たこやき)、Onigiri(おにぎり)、変わったところでは Baked Sweet Potato (焼きいも)などを目にする機会も増えました。

地元情報誌でも特集された、Ramen (ラーメン)

すき家の看板は、英語とマレー語でラーメンを説明。

すき家の看板は、英語とマレー語でラーメンを説明

なかでも日系のラーメン専門店は、ここ数年でぐんと増えた感があります。

ラーメンは、以前から日本料理店のメニューにありましたが、専門店の登場で味のレベルはぐっと上がり、同時に地元の人のあいだでも認知度も高まったようです。

地元英字紙の記事でも Ramen and other Japanese delights (ラーメンと日本のおいしいもの)と、「ラーメン」は注釈なしで使われています。

Ramen and other Japanese delights (The Star,18 Sep 2017)

日本の「ラーメン」に関して、マレーシアの英語ネイティブに聞いてみました。

The Japanese Ramen is more gorgeous than that of food courts because Ramen is larger in volume both of noodle and toppings. For example, charsiew is bigger and thicker. Very juicy! We have “deluxe” local Chinese noodle at 4 to 5 star hotels, but they’re too expensive. For us, the Japanese Ramen is very attractive for its taste, volume and price.

「日本のラーメンは、華人の屋台で出している(中国系)ラーメンより麺や具の量が多いし、豪華だよね。チャーシューなんか、大きくて厚いし。とってもジューシー! 4つ星、5つ星クラスのホテルにけば『豪華な』中華の麺もあるけど、値段が高すぎる。僕たちにとって日本のラーメンは、味と量、値段も魅力的なんだ」

ちなみに、ラーメンはオックスフォード英語辞典にも採録されています。

In Japanese cookery: quick-cooking Chinese noodles, usu. served in a broth with strips of meat and pieces of vegetables.

「日本の料理の一種。手早く調理する中国の麺で、通常は細く切った肉と野菜の入ったスープと一緒に供される」とあり、最初の用としては1972年のものが掲載されています。
(「usu.」は「usually」の略)

豚骨スープはだいじょうぶなの?

クアラルンプールで見かけるラーメン店は、豚骨スープの店が多い印象です。

マレーシアの人口の約7割を占めるマレー系はムスリムで、国教もイスラム。イスラム教徒には、豚肉はもちろん、靴やベルトなどの皮革も禁忌のはずなのに、どうして豚骨ラーメン?

マレーシアは、多数派のマレー系のほか、華人(中国系の移民の子孫)、インド系、先住民族など構成されていて、外国人も多い多民族社会です。

ラーメン人気の担い手は、イスラム教徒のマレー人ではなく、麺文化に親しんでいて、食の制約が少ない華人が中心です。彼らは豚肉や油を多用する中華料理の味付けに慣れているので、魚介だしよりも、こくのある豚骨ラーメンを好むといいます。

結果として、マレーシアに出店するラーメン専門店も豚骨スープのお店が多くなり、ラーメン=豚骨スープというイメージをもっている人もいるほど。

ちなみにマレー系は、ショッピング・センターなどに入っているハラール(ムスリム向け)のラーメンを食べるようです。

スパイスのきいたカレーなどを好むインド系は、味覚が異なるためか、日本食のお店で見かけることはあまりありません。

あるラーメン店には「ノン・ハラール(非イスラム教徒向け)」の表示がありました。

この店には「ノン・ハラール(非イスラム教徒向け)」の表示がありました。

マレーシアで日系ラーメンを食べてみる

クアラルンプールでは、北海道ラーメンの「らーめん山頭火」や「がんてつ」、鶏白湯の「まる玉ラーメン」、東京の「麺屋武蔵」、「東京豚骨拉麺ばんから」、九州勢は「筑豊ラーメン山小屋」、博多ラーメンの「一風堂」、熊本ラーメンの「味千」など、各店が特徴のある味を競っています。

日本のラーメン専門店というと、男性客が多く、狭いカウンターに座って手早く食事を済ませるイメージがあります。マレーシアではテーブル席を中心に、ゆったりした造りが多く、家族連れや女性客も結構いて、ラーメン以外の日本風の料理も楽しめます

ラーメン店内は、くつろいで食事ができるラーメン・レストランといった趣。

ラーメン店内は、くつろいで食事ができるラーメン・レストランといった趣。

ところで、ラーメンはニホンゴか?

文字が小さく見づらいですが、中国料理のお店のメニューで、拉麺は Lā Miàn と表記されています。

文字が小さく見づらいですが、中国料理のお店のメニューで、拉麺は Lā Miàn と表記されています。

ラーメンは、伝統的な和食ではありませんが、日本でも広く親しまれている食べもの。その起源は中国にたどることができます。

中国にルーツをもつ人びとが暮らすマレーシアには、拉麺というものもあり、こちらは Lā Miàn と表記されています。

つまり、日本発のラーメンはRamen、中国式の拉麺はLā Miàn。マレーシアの華人は別のものと認識しているようです。

スーパーマーケットには、いろいろなインスタント・ラーメンが並んでいます。

スーパーマーケットには、いろいろなインスタント・ラーメンが並んでいます。

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海外書き人クラブ

文・写真:海外書き人クラブ・森 純

http://www.kaigaikakibito.com/blog/