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英語学習に洋書や英文学を効果的に活用する方法を、英語マスターが伝授します!

三吉先生と阪口編集長

アルクの人気英語教材「1000時間ヒアリングマラソン」の、海外の社会や文化についての知識を深めるコーナーを担当する三吉美加先生に、ヒアリングマラソン阪口編集長がインタビュー。文学を通して英語に触れる楽しさ、洋書の上手な活用法、英語力アップに壁を感じている人へのアドバイスも伺いました。

三吉美加先生

三吉美加先生
多文化コンサルタント。東京大学大学院学術研究員、ニューヨーク市立大学シティカレッジ・ドミニカンスタディーズ研究所研究員。専門は文化人類学、ラティーノ文化、カリブ文化、黒人表現文化。著書に『米国のラティーノ』(大学教育出版)他。

歌詞の意味を知りたくて、英語の勉強をスタート

阪口愛衣ヒアリングマラソン編集長の阪口です。本日はよろしくお願いします。

早速ですが、大学で必修科目の英語やプレゼンテーションなどを教えていらっしゃる三吉先生ご自身は、どのように英語の勉強をされたのでしょうか。

三吉美加先生英語の歌から入りました。私が学生の頃は洋楽を聴くのが当たり前の時代で、実際に聴くと素晴らしい曲がたくさんありました。そのうち歌の内容が知りたくなり、歌詞カードを読んだり、単語の意味を調べたりするようになりました。

阪口愛衣どんなアーティストの曲を聴いていたんですか?

三吉美加先生当時でもすでにちょっとレトロな感じだったザ・ビートルズや、ザ・ローリングストーンズが好きでしたね。あとはソウル、ブルース、ジャズも好きで、オーティス・レディングなども聴いていました。

阪口愛衣シブイ趣味ですね。

三吉美加先生ビートルズの歌詞は簡単なので、調べたら全部意味は分かりましたね。でもストーンズに好みが移したら歌詞が長いんです。“不良”は歌詞が長くなる傾向にある(笑)。それで、読解ももう少し頑張る必要が出てきました。 雑誌で好きなアーティストのインタビュー記事を読み、彼らが「こんな本を読んだ」と語っていたら、まねして読んだこともありました。ディケンズにも挑戦しましたよ。音楽をきっかけに、英語の世界に深く入り込んでいきました。

英語が通じずショックを受けて、文法や単語学習に取り組む

阪口愛衣英語のコミュニケーションへの興味はどうでしたか。

三吉美加先生通っていた高校に交換留学生がいたのですが、私の英語が全然通じなかったんですよ。それがショックで、問題など“正規”のルートの勉強も始めました。英語ができる友人たちに学習法を聞いて試したりもしましたね。

大学に入学するとライブハウスでアルバイトをするようになり、外国人のお客さんと英語で話す機会も多かったのですが、あまり通じませんでした。バンド活動をして、時々演奏もしていたんですが、英語で歌ってるのに通じない……。そんなショックな経験を数多く繰り返しながら、英語を勉強しました。 

阪口愛衣バンドをやってらしたんですか!日本にいても英語を使う環境に身を置くことは、自分の興味次第でできるんですね。

ニューヨークに留学 ディープな環境英語を身に付ける

阪口愛衣三吉先生は、ニューヨークに留学されていますね。

三吉美加先生日本の大学に入学したのですが、どうしてもアメリカにきたくて、アルバイトでためた資金で留学しました。80年代から90年代始めのニューヨークは治安が悪く、エリアによっては発砲事件もよく起きていました。私は家賃の安いワシントンハイツやハーレムに住んでいたのですが、隣の住民が麻薬のディーラーだったり、深夜でも大音量で音楽が流れていたりと、人には勧められない環境でした(笑)。毎日英語を使って人と交流しないと暮らせない環境だったので、自然と英語が話せるようになっていきましたね。

阪口愛衣ディープなニューヨーク体験ですね!

三吉美加先生住んでいたところは、ドミニカ共和国、ハイチ、ジャマイカなどから来たカリブ系や、アフリカ系アメリカ人が大勢住んでいる地区。仕事にかず一日踊っている人がいるなど、当時の日本から来たばかりの学生には、カルチャーショックを受けることばかりでした。それがきっかけとなって、カリブ系移民やアフリカ系を研究テーマに選び、やがては中南米の文化に関心を抱くようになったんですよ。

文学を通して、言葉の素晴らしさを味わってほしい

阪口愛衣三吉先生にご担当いただいている「教養あふれる音の劇場」*1では、カポーティの『ミリアム』や、10月号から始まったチママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『アメリカーナ』といった作品が登場します。作品はどのような基準で選んでいますか?

三吉美加先生文学的評価が高い作品というのはもちろんですが、まずストーリーが面白いこと。そして多様な内容や文体の作品を紹介するようにしています。『アメリカーナ』はアメリカの多文化的な状況や移民たちの状況が描かれ、多文化に身を置くということが描かれたとても面白い作品だと思います。

阪口愛衣文学作品の朗読を聞いたり、音読したりすることに、どのような意味があるのでしょうか。

三吉美加先生TOEICなどのスコアを上げるため、英単語や表現を覚えようと力を入れる方もいらっしゃると思いますが、言語を身に付けるには、その言葉の本質や、言葉の素晴らしさを知る必要があります。それには文学に触れることが一番です。言葉の素晴らしさの本質は文学にありますからね。

阪口愛衣私自身、朗読で身に付いたことが多かったんです。文学作品の朗読を聞くとまねしてみたくなりますし、実際に感情を込めて音読すると、だんだん英語が生きた言葉として立ち上がってくる気がします。言葉が自分の血肉になっていくと思うんです。

三吉美加先生そのとおりです。人間が作り上げたもののなかで最もパワフルなものといってもよいかもしれません。日頃、格調高い英語に触れる機会はなかなかありませんが、せっかく英語を学ぶのなら、文学や詩の素晴らしさもぜひ味わっていただきたいです。

アメリカーナ

アメリカーナ

 

好きな英文を見つけよう!レベルに合わせた柔軟な学習を

阪口愛衣ただ、ヒアリングマラソンで扱う文学作品の英語レベルは高いですよね。難しいと感じる場合、どう取り組むといいでしょう。

三吉美加先生歯が立たないと感じたら、まず訳を読んで内容理解してから朗読を聞いたり、英文を読んだりしてはいかがでしょう。難しく思えた英語の意味が頭にすっと入ってきますよ。

阪口愛衣最初に訳を読んでもいいんですね。

三吉美加先生素晴らしい英語を味わうことが目的で、苦労することが目的ではありませんから。完全に英文を理解する必要もありません。

作品の中から好きな文を一つ、二つ探し出すだけでもいい。ノートに書き留めるのもお勧めです。また、朗読を聞いて、ひたすら英語の音やリズムを味わうのもいいと思います。

中級以上は分からない単語の意味をすぐに調べるのではなく、推測して読む練習をしましょう。まずは動詞で読んでいくようにするといいです。「こんな意味ではないか」と推測して、後で辞書確認する。語学では推測力がとても大事ですから、訓練してください。

上級レベルになったら、単語は英英辞書調べることをお勧めします文も確認しましょう。言葉の意味や使い方がよく分かり、話したり書いたりする力が付きます。特に動詞や形容詞は英英辞書で学ぶ方がよく理解できますよ。

阪口愛衣洋書を読む際にも応用できる方法ですね。

想像力を働かせ、自分に合った学習法をカスタマイズ

阪口愛衣個々人に合ったさまざまな学習法があるのですね。

三吉美加先生学習には想像力が大切です。どうしたら自分のためになるのか想像力を働かせて、自分に合った学習法をカスタマイズしましょう。

ヒアリングマラソンに登場した作品に興味を持ったら、さらに作品や作家について調べるのもお勧めです。映画やドラマなど、映像化された作品を見てもいいでしょう。

また、ネットには作品のファンサイトなどもありますし、YouTubeなどにアップロードされた作家のインタビュー映像もあります。作家の肉声に触れるのも面白いですよ。

学習成果が出ない人は、英語との関わり方を考えよう

阪口愛衣頑張っているのになかなか成果を感じられない学習者へのアドバイスはありますか?

三吉美加先生まず英語に限らず、語学は普通に学べば誰でもできるようになります。何カ月も学習しているのに進まないとしたら、それは頑張りが足りないのではなく、英語との関わり方に問題があるのかもしれません。

阪口愛衣英語との関わり方ですか! 興味深い観点ですね。

三吉美加先生なぜ自分に英語必要なのか問い掛けてみてください。「英語を話せるようになりたい」という人は多いですが、英語が話せると自分はどうなるのか、英語を話して何をしたいのかというところまで考えてみる。そうすると目標現状の自分が見えてきて、学習のやり方が変わってきます。

英語をどう役立てるか?能動的な構えで英語を学ぼう

阪口愛衣「会社からの指令で英語の勉強をしている」という方もいらっしゃいます。

三吉美加先生大学でも「必修だから仕方なく英語を学んでいる」という学生は多いです。日本では受身の姿勢で英語を学んでいる方が多いかもしれませんが、考え方を変えてみてはいかがでしょうか。「英語力を付けて自分は何をするのか」と、「英語力を自分の人生にどう役立てていくのか」というように、英語に対して能動的な構えに変えていきましょう。

阪口愛衣英語学習って本来、能動的な動であるべきですよね。

三吉美加先生そのためには一度、自分とじっくり向き合って、どう生きたいか、将来どうなりたいのかを考えてみるのも必要です。

その上でどんな英語力が必要で、どう使っていきたいのかを考えていくと英語との関わり方がアクティブになります。母語でも他の言語でも言葉に真摯に向き合うと、いろいろな気付きがもたらされ、私たちの毎日の表現活動や人間関係が豊かになります。言語を使って私たちは思考していますから、語学学習は結局、人の人生を豊かにするものだと思うんです。

阪口愛衣貴重なお話をありがとうございました!

12月号の申し込みは25日まで

1000時間ヒアリングマラソン

1000時間ヒアリングマラソン

1982年に開講して以来、アルク人気No.1の通信講座。生きた英語を聞き取り、多彩なトレーニングによって「本物の英語力」を身につける教材です。ネイティブスピーカーが使うリアルな会話やニュース英語、映画のセリフなどさまざまなジャンルの素材がたくさん収録されているだけでなく、トレーニングで力が付くようしっかり導き、細やかなカリキュラムに沿って学習を進めます。

詳細はこちら

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取材・文 原 智子
編集:GOTCHA!編集部

*1:通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」のコーナー。文学やレクチャーの英語に浸りながら、海外の社会や文化について学びます。