「却下する」「許可しない」英語の機能表現を4例紹介

仕事で英語を使う方なら押さえておきたいのが、自分の意図を伝える「機能表現」です。覚えておけば、仕事がぐっとスムーズに。書籍『相手と場面で使い分ける 英語表現ハンドブック』から紹介します。今回は、「許可を却下する」表現です。

機能表現をざっくり言うと

この機能表現は、以前取り上げた「依頼を断る」 とよく似た性質を持っています。「できない」「残念だ」と言ったり、断る理由を付け加えたり、複数の要素が組み合わされて、ひとつの機能を果たします。

相手との距離を確認しよう

大事なのは相手との距離感です。親しい間柄なら、「悪いけどダメなの」とざっくり断れますが、付き合いの浅い相手や上司に対してはそうもいきません。

こちらの図を見て、考えてみましょう。

あなたと相手との、心理的、社会的距離によって、使う表現が変わってきます。相手との距離感をしっかりつかんで、状況に合った英語表現を使いたいものです。

ややカジュアル:相手は気の合う同僚

図の左上Ⅰの領域。心理的にも社会的にも近い場合です。カジュアルな表現でOKです。

相手:Can I use your car this afternoon?
(今日の午後、君の車を使ってもいいかい?)

あなた:Sorry, Joe, but you're not insured to drive it.
(ジョー、ごめん、あなたはその車の保険でカバーされていないの。)

「ごめん、でも」+「理由」 という表現が使われています。

親しい間柄なので、断り方があっさりしていますが、仕事の関係者でもあるため、“No” で始まる強い感じの表現は使っていません。

カジュアル:相手は近所に引っ越してきたばかりの隣人

次は図の左下、Ⅲの領域。「社会的には近いけれど、心理的には遠い」という関係です。

相手:Do you mind if I smoke?
(タバコを吸っても構いませんか。)

あなた:Well, to be honest, I'd rather you didn’t.
(うーん、正直なところ、できたら吸ってほしくありません。)

“I’d rather you didn’t.” は、「できたら…しないでほしい」という意味で、丁寧なニュアンスを持つ表現です。この状況では、“I’m very sorry ...” のように、申し訳なさを強調するのも自然です。

ややフォーマル:相手は長年の付き合いで信頼する部下

図の右上、Ⅱの領域。長年付き合いがあり「心理には近い」のですが、職場での上下関係があり「社会的には遠い」という関係です。

相手: Would you be all right if I switched project teams?
(プロジェクトチームを変えてもいいでしょうか。)

あなた:Oh, I’m afraid you can’t change now. Why don’t you have a word with John about it?
(あら、悪いけど今は変えられないわ。ジョンにちょっと聞いてみたらどう?)

他の状況と比べて、代案や忠告を付け加えるケースが多いのが特徴。理由を付け足すケースも一般的ですが、この “I’m afraid you can’t ...” を使う場合には、理由を付けないことのほうが多いです。

よりフォーマル:相手は着任したばかりの上司

図の右下、Ⅳの領域。社会的にも心理的にも距離がある関係です。これは気を使いますね。さて、どんな表現を使うのでしょうか。

相手:I’d like to open the window. Would that be all right ?
(窓を開けたいんだけど、いいかしら?)

あなた:I’m sorry, I’d rather you didn’t. I’m just getting over a cold.
(すみません、できれば開けないでいただきたいんですが。ちょうど風邪が治りかけているところなので)

社会的にも心理的にも距離のある人が相手なので、丁寧な断り方をするのが一般的。「残念だ」+「不可能です/~してほしくありません」+「理由」というのが典型的なパターンです。また、“I'm really sorry, ... ” のように、reallyで申し訳なさを強調するなど、丁寧さを増すための言葉がよく付け足されます。

まとめ

いかがでしたか? 「許可を出すのを断る」というのは、どんな関係の相手に対してもちょっと心苦しいシチュエーション。相手に失礼のない表現を使いたいものです。

ぜひマスターして、いざというときに使ってみてください!

機能表現を紹介する連載はこちらからどうぞ

ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部
ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

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