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栃木の観光にも!地元民が支える自然と文化

あしかがフラワーパーク藤の花

写真:あしかがフラワーパーク 藤の花

アルクが日本各地の魅力を日本語英語で発信する連載、「アルクの勝手にお国自慢」。今回は、多くの栃木県人が深い思い入れを持つ「二社一寺」「しもつかれ」などをご紹介いたします。

1.栗石がえし

栗石がえし

「くりいしがえし」って知ってますか。栗、石、返し、です。

栃木県日光市にある徳川家康を祀る「東照宮」は、その建物と境内地が「二荒山神社」「輪王寺」とともに世界文化遺産に登録されています。また、ひとまとめに「二社一寺」とも呼ばれています。この東照宮の境内には、こぶし大の玉石「栗石」が敷き詰められており、毎年4月下旬に、地元住民約3000人のボランティアが清掃にあたります。石をひとつひとつ裏返して1年の間に石の間に入った杉の枯葉やごみを取り除くのです。約380年前、江戸時代初期から続く事です。

この日光の伝統事、栗石返しを海外の人たちに説明してみましょう。

“Kuriishigaeshi” is a 380-year-old volunteer cleanup event held at Toshogu Shrine every April. A World Heritage Site, this shrine is dedicated to the first Tokugawa Shogun, Ieyasu, who unified feudal Japan. The ground of the shrine is paved with “kuriishi,” or fist-sized round stones. Nearly 3,000 volunteers flip over the stones one by one and clean off the dead leaves and litter by hand. The residents of Nikko are very proud of this tradition.

2.『新・観光立国論』の教え

日光に社員100人弱の「小西美術工芸社」という会社があります。東照宮はもちろん、奈良県の春日大社、大分県の宇佐神宮など日本全国の国宝や文化財の修理を手掛けています。仕事先が全国にわたるこの会社が、なぜ、重要文化財が集中している京都ではなく日光にあるのか。漆が関係します。日本全体の寺社の漆塗り修復業務の約4分の1が日光の二社一寺に集中しているからだそうです。

この会社のデービッド・アトキンソン社長が書いて話題になった『新・観光立国論』(2015年、東洋経済新報社)によれば、海外からの観光客は4つの要素の組み合わせでき先を決めるとのこと。「気候」「自然」「文化」「食事」の4つで、この順番で観光の強い誘因となるらしい。日本の「おもてなし」や「治安の良さ」は魅力ではあるけれども、それ自体が観光客を呼び込む源にはならないということですね。ということで次は「食」の話。

3.郷土料理にして家庭料理「しもつかれ」

佐野ラーメン

佐野ラーメン

宇都宮市の餃子、佐野市のラーメン、県全体で栽培されるイチゴ「とちおとめ」などの誰もが知る名物なら人を呼ぶことができます。では、栃木の郷土料理「しもつかれ」に引かれて栃木を訪れる人はいるでしょうか。答えは否。なぜなら、これは季節料理である上に家庭料理であるため、観光客がお店で注文できる品ではないからです。栃木県人が県外で酒席に集えば、自分の実家の「しもつかれ」はどんなものだったかという話題で必ず盛り上がります。

 

しもつかれ

しもつかれ

 江戸時代後期、19世紀前半に起こった飢饉の時に飢えを凌ぐための食べ物として考され普及したらしいです。新巻鮭の頭・大豆(節分にまいた残り)・大根・人参・その他の余り物を細切れにし、酒粕と共に煮込みます。調味料を一切用いず、入れる具材の配合で味を決めると言われます。2月、立春を過ぎて初午の日に作るのが習わしです。

特に大根は「鬼おろし」という目の粗いおろし器で粗く削って混ぜます。鬼おろしは竹製で通常のおろし金の2、3倍の大きさ。高さ1cmもある歯が拷問の道具のように並びます。私が子供のころ、鬼おろしは見るにも聞くにも恐ろしく、手に触れるのもはばかられました。当然、「しもつかれ」を口にするのはすごく苦手でした。しかし、東京に出てきて数十年がたった今は、春が浅い時期に帰省して酒の肴に「しもつかれ」が出ると、オカワリをしてしまうほどになっています。

 

Here is how to make your own Shimotsukare, one of the area’s traditional dishes. Use a daikon, some carrots, some beans, a couple heads of heavily salted salmon (whose bodies have previously been consumed), sake lees and anything else you have around the kitchen that you might want to add. Chop up or grate everything roughly. It is best to use an onioroshi – or “devil’s grater” – a large grater made of bamboo with 1cm-high teeth that stand out like rough waves. Put everything together into a big pot. Do not add water. Simmer long enough to soften the salmon heads. (Of course, some of the bones in the heads will remain too hard to eat.)

4.市貝町の芝ざくら公園

市貝町の芝ざくら

写真:とちぎ旅ネット

文化と食べ物の次は「自然」の話。足利市にある「あしかがフラワーパーク」には、特に藤の花が咲く4月中旬からの1カ月間は、国内はもちろん海外からも人が集まります。満開の花が長く垂れ下がった藤棚の下を歩くと、香水の森に踏み込んだような気分です。

でもここで紹介したいのは私の地元、市貝町にある「芝ざくら公園」です。私が子供のころ、ここは山また山の奥にありイノシシがよく出ると言われていました。

私が町を離れた後、農業用水を確保するために山間に大きな貯水池が掘られ、「水晶湖」と名前がつきました。周囲の山を造成し池を掘った残土を使って8ヘクタールの公園が作られたのが2006年。このうち2.4ヘクタールに、地元ボランティアによって芝桜が植えられており、その植栽面積は本州最大だそうです。毎年4月から5月にかけて「芝ざくらまつり」が催され、観光バスで渋滞が起こるほどの人気が出るまでになりました。

私の兄は人出がピークを過ぎ花も終盤になった頃にしかったことがないと言います。実家から自転車でいける距離なのに、私はまだったことがありません。次の春に帰省したら訪ねてみようと思います。高台から花のじゅうたんをながめ、水晶湖を見下ろすと、自分の知らない故郷が広がっているのかもしれません。

OMOTENASHIフレーズ

You are from Tochigi. What do you recommend that I see or do while I’m here?
栃木の出身ですよね。観光にいいところはないですか。

What are you interested in? Traditional things, or sampling the local cuisine?
どんなものに興味があるの?伝統的なもの?郷土料理を試してみたい?

I’d like to enjoy some nature.
自然を楽しめるといいな。

You are in the best season to visit Shibazakura Park, in my hometown. Strolling through the sea of flowers in full bloom will take your breath away!
私の町の芝桜を見にくには一番いい季節ですよ。満開の花の海を歩くと思わず息を飲んでしまいます。

 

「日光」「しもつかれ」「芝桜」と全て春季の話題でしたが、栃木県には通年で楽しめる「気候」「自然」「文化」「食べ物」がたくさんあります。その多くは地元の方々がさまざまな形で関わり維持管理しています。どうか栃木に遊びに来てください。そして英語で体験を発信してください。海外からの来訪者に、きれいな層の下に横たわる来歴まで踏み込んで英語で語ることができれば、あるモノをそのまま提示することを超えて「観光の魅力を作りだす」ことになります。

 

次回の「アルクの勝手にお国自慢」は、長野県長野市を紹介します。

 

平野琢也

構成・文:平野琢也(アルク教育総合研究所)
入社以来ずっと月刊誌、通信教育、書籍等の編集を担当。近年はテスト開発、サービスの効果検証などがメイン業務