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英語の発音の疑問を解決![f]と[v]って唇を噛むの?

発音

英語を話すのは苦手・・・」と感じるのには色々な理由があると思いますが、その中のひとつとして、「発音が難しいから」と思ったことはありませんか?そんな皆さんの悩みを、英語教師の久保岳夫先生が「音のしくみ」を説明しながら、わかりやすく解決します!

音声を大切にすることからはじめよう

みなさん、はじめまして。私は普段は中学生や高校生に英語を教えているのですが、今回ご縁があってこのGOTCHA!で記事を書かせていただくことになりました。わかりやすくシンプルな説明を心がけますので、どうぞよろしくお願いします。

私が普段関心を持っているのは、どのようにしたら日本の英語学習者が効率的に英語を習得できるのだろうか、ということです。「英語の勉強方法を教えてください」、「どうしたら英語ができるようになりますか?」こうした質問を生徒や保護者の方から受けることがあります。そう簡単な方法はなかなかないのですが、ひとつだけ自信を持っておすすめできることがあります。それは、音声をふんだんに利用していくことです。私たちは日常的に日本語ですばやくコミュニケーションをとるために、音声に頼っています。英語などの外国語を学習する際も同じことですから、音声を大切に扱っていく必要があると考えています。

GOTCHA!では、英語の音声を正しく生み出す方法つまり「発音の仕方」について、多くの人が疑問に思っているであろうことを、できるだけわかりやすい形で説明していけたらと思っています。肩の力を抜いて読んでいただいて、かつ実際に発音することにも取り組んでもらえたらと思います。

[f]と[v]って唇を噛むの?

第1回目はさっそく、[f]と[v]の発音についてお話します。ところで、この[ ]をつけて[f]と書いた場合は特定の発音をすことを知っていましたか。[f]のように[ ]をつけてされた記号を発音記号といいますので、このことをはじめに覚えておきましょう。

さて、[f]と[v]の発音の仕方ですが、この2つの発音の仕方について私が時折耳にすることがあります。 

[f]と[v]って唇を噛んで発音するの?

あたらずとも遠からず・・・といったところでしょうか。 [f]も[v]も日本語の五十音図にはない音ですので、発音の仕方を若干大げさに覚えている人もいるようです。今回はこの疑問を検証しながら、[f]と[v]の発音について解説していきたいと思います。

まずは「摩擦音」を知ろう

窓

ところで、みなさんはこんな経験があるでしょうか。

「風の強い日に窓をぴたっと閉めようとしたものの、うっかり隙間が空いたままになってしまった。すると、その隙間から風が入ってきて、ぴゅーぴゅー音がしていた

窓というのは大きく開けていると何も音はしませんが、細い隙間があるとぴゅーぴゅーと音が出てしまいます。実はこの現象は、私たちが発音をする際に頻繁に利用していることで、英語の[f]と[v]を発音する際にもあてはまります。空気の流れというのは、通り道が狭いとその隙間で乱れが生じます。私たちがことばを話す際も同様のことが起こっているのですが、このようにして出る音を「摩擦音」といいます。[f]や[v]の発音も、肺から上がってきた空気が下唇の内側と上の歯の先のごくわずかな隙間を通る際に生じる気流の乱れの「摩擦音」です。

口のどこをどう使って発音するの?

[f]と[v]は上の歯と下唇を使って生み出す音だということは、なんとなくわかっていた人も多いのではないでしょうか。これがいつの間にか「[f]と[v]は下唇を強く噛んで発音する」というイメージにつながっている場合が少なからずあるようです。

しかし結論から言うと、下唇を強く噛む必要はありません正確には、下唇を噛んで発音することもできるのですが、噛まないで発音されることの方が多く、そのほうがずっと楽に正確な発音をすることができます。まずは[f]の発音を見ながらこのことを考えていきましょう。図1と図2を見てみましょう。

 

図1 下唇を強く噛んだ[f]

 

図1

図2 下唇に歯を軽く当てた[f]

図2

これらの図は人の顔をすぱっと真ん中で縦半分に切ったときの「断面図」だと思ってください。左側に鼻があり、その下に口や歯があるのがわかるかと思います。赤い部分が舌をし、水色の線は肺から上がってきた空気の流れをしています。この図は発音の仕方を見るときによく使います。唇の形、歯や舌の位置などに注目してみてください。

図1は、下唇をしっかりと噛んで[f]を発音しようとしている状態しています。下唇が見えなくなるほど上の歯で強く噛んでいるのが分かるかと思います。肺から上がってきた空気は、下唇をしっかり噛んでいるため、口の外に出づらくなっているのがわかるかと思います。

英語を話すとき、[f]は頻繁に出てくる音ですので、英語のネイティブスピーカーが図1のように極端に下唇に力を込めて発音しているとは少し考えにくいといえます。実際、このような口の形をしていることはほとんどありません。

一方、図2は一般的な[f]の発音をしている時の口の形です。下唇を噛んでいるというよりも、下唇の内側に上の歯の先を軽く触れさせているような形になっています。実際に[f]や[v]の発音をする際はこのような口の形をしていることが多いのです。それでは、図2を意識して、[f]の音を出す練習をしてみましょう。

図2

練習1
図2を意識しながらお手本を聞いた後で、 [f]の発音を含む単語を2回ずつ発音しましょう。1回目はゆっくりと、2回目は普通の速さで発音してみましょう。

1. food

2. chief

3. left

[v]の発音は?

[f]の発音は慣れてくればそれほど難しくはないのですが、[v]の発音で手こずることがあるようです。中学生や高校生に英語を教えていると、very goodをberry goodのように発音する人を見かけます。 [v]を発音するための口の形は、先ほどの図2で示した[f]の口の形でかまいません。しかし、ひとつだけ違う点があります。それは、[v]の発音は喉仏の内側にある声帯と呼ばれる箇所を震わせて発音しているという点です。「声帯を震わせる」とはどういうことなのでしょうか。以下の練習をしてみましょう。

練習2
右手の人差し指と中指の2本を喉仏の辺りに触れさせて、「あ〜い〜う〜え〜お〜」と発音をし、震えている場所を確認しましょう。
⇒震えている場所が「声帯」です。

日本語の「あいうえお」は母音と呼ばれる音ですが、母音を発音する際は喉の奥にある声帯が震えています。声帯は筋肉のひとつです。肺から上がってきた空気は震えた声帯を通って、空気自体も震えたまま口の外に出ることになります。このように、声帯を震わせて発音する音を有声音といいます。母音以外の音のことは子音といいますが、[v]のような子音も声帯を震わせながら発音する有声音になります。ちなみに、声帯を震わせないで発音する[f]のような子音を無声音といいます。言葉を暗記する必要はありませんが、ほとんどの子音は[f]と[v]のように同じ口の形で発音する無声音と有声音のペアになっていることを覚えていてください。図3は、声帯を震わせながら[v]を発音している様子をしています。

図3 声帯が震えている[v]

図3

練習3
図3を意識しながらお手本を聞いた後で、[v]の発音を含む単語を2回ずつ発音ましょう。1回目はゆっくりと、2回目は普通の速さで発音しましょう。

1. very

2. have

3. heavy

私が英語を教えてきた経験から言えることは、無声音よりも有声音のほうが苦労している人が多いのではないかということです。[f]の発音は簡単にできるようになっても、[v]の発音で苦労している人が多いという印象を持っています。[v]の発音で苦労している人は、上の歯と下唇を過度に接触させてしまうために、有声の摩擦音がうまく発音できないことが多いようです。肺から上がってきた空気は下唇のところで気流を生じさせる前にすでに震えているので、下唇にまでその振動が伝わってくるはずです。以上のことを意識して、次の練習をやってみましょう。

練習4
上の歯と下唇が接触しすぎないよう注意して、お手本を聞きながら [v]の発音を5秒間持続させてみましょう。

vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv(5秒間)

下唇がかゆくなるようなノイズを継続して生じさせることができれば、きちんと発音できていることになります。 コツがつかめたら最後にもう一度練習3に戻ってみましょう。特に①のveryを発音する際は、慣れるまで少し長めに[v]を発音するよう心がけてみるとよいですね。有声の摩擦音である[v]を徐々にうまく発音できるようになるはずです。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回学んだことを簡単にまとめてみましょう。

● [f]と[v]は下唇を強く噛んで発音するわけではない
● 下唇の内側に上の歯をそっと当ててやる程度でよい
特に[v]は接触させすぎるときちんと発音できない

gotcha!

文:久保岳夫
早稲田実業学校教諭。専門は英語教育学、英語音声学。学生時代に英語の音声に関心を持ち、英語教師の道へ進む。日本人英語教師として理想の英文朗読を研究している。趣味は英会話、囲碁、ランニング。資格はIPA Certificate of Proficiency in the Phonetics of English(英語音声学技能検定)、英検1級など

編集:江頭茉里