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アメリカ系とヨーロッパ系企業で微妙に異なる人事と給料[外資ワークの真実08]

BUSINESS STUDY アルクの本

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アルクの新刊(2017年1月)『 英語転職の教科書』のエッセンスをご紹介します。

 

外資といえども国、つまりそれぞれ地域の文化によってその企業風土は異なります。評価研修などの人事的な制度も、お国柄により多様ですし、年齢をわりと気にする国があれば、そうでないと国ところもあります。

今回はそのあたりのようすをお話ししましょう。

グローバルでの統一を志向する米系企業

グローバルに大きく展開している米系の会社は、人事制度は同じものを適用しようとします。特に管理職層は、グローバルなスタンダードに従うケースが多いです。

まず、給与体系。給料の額は、仮に同じような責任で能力必要な仕事であっても、それぞれの国の水準があるのでもちろん一律ではありません。しかし、ボーナスの仕組みなどは一律で、全社グローバルの業績、部門の業績などの比率は統一されているケースが多いのです。

たとえば、ボーナスの比率は基本給の30%で、まず、グローバル、部門の比率が決まり、その後に個人の業績が反映される、というような統一的な枠組みがあります。

さらに、たとえば、国内のマーケティング担当なら、国内の売上に及ぼす影響が大きいでしょうからそのウエイトが20%で、グローバルの責任が10%など逆に、アジア全体をみているなら、会社全体の利益も考えなければならないので、アジア部分の売上もグローバル業績部分も15%、ということになるかもしれません。

典型的なのは、自社の株価を一定価格で購入する権利である、ストックオプションです。

たとえば、マイクロソフトなどの日本法人に勤めていたとしても、なかなかマイクロソフトの株価にインパクトを与える仕事をしているわけではありません。しかし、株価の向上は社員の金銭的利益に繋がるわけですから、会社との一体を高めることにも役立つということで、多くの企業がこの制度を用意しています。

また使できるのは3年後」などと定めることが、会社の長期的な成功のために動くようなインセンティブになりますし、同時に、優秀な人材の長期的確保にも役立ちます。

ボーナスやオプションの支給日を統一する会社もありました。日米欧でもちろん時差はあるのですが、同じ日に上司から部下にボーナスやストックオプションの支給が言い渡されるわけです。上司が外国にいる場合は、電話でっていました。

もちろん、休みの人がいればできませんし、部下の数が多い上司は1日、2日ほどずれることはあるでしょうが、社員の一体感を高めるため、揃えてっていたわけです。

研修制度もグローバル

研修制度も同様です。ある一定の役職になると研修を受けることになるのですが、これもグローバルに、一斉にわれます。

以前私がいた会社では、アメリカの一流大学の一週間のエグゼクティブプログラムで勉強する機会がありました。そこには同じレベルの役職の方々が世界中から集まっており、リーダーシップを中心に学ぶとともに、互いの交流を深める場となっていました。

グローバルな会社では、当然のことながらさまざまな価値観が共存するので、お互い知らないと軋轢も生まれがちです。一度会って少しでも話をすると、十分にとはいえなくとも分かり合えるものです。

こう書くといいことずくめのようですが、一方で、グローバルスタンダード原理主義といいますか、グローバル基準の締め付けがあります。

各ローカルの事情からすれば、グローバルスタンダードには従わない方が、経営的にも社員の方としてもいいケースがあります。たとえば、国内では素晴らしい営業能力を発揮しているが英語はままならない人がいた場合、外国の大学で勉強するより日本で研修を受けた方がいいかも知れません。外国の人との交流もないよりはあった方がいいのですが、それを含めても費用効果に合わないという場合です。社員にも、1週間休んで時差ボケで帰ってくるよりも、営業成績を上げるための活動を増やしたい、と考える人もいます。

しかし、グローバルスタンダードでは、そんなことは参加しない理由にはなりません。ある意味、愚直に、グローバルな基準を押し付けてくるわけです。

放任主義が多い欧系企業

一方、ヨーロッパの会社は「日本は日本の人事制度を作って運用してもらえればいいので、任せる」という色合いが強いです。

あるドイツの会社では、グローバルな人材の交流もあまり促進されず、日本企業で一般的ないわゆる職能資格制度を作っていました。ビジネス上の必要性によりグローバルの必要度合いは会社によって異なりますが、一般的な傾向としてあるようです。

こちらの場合、各国の独自性、日本の独自性をみとめてもらっているという見方をすればいいのですが、逆に言えば、本社基準に合わせてもらえないという訳です。

あなたの会社のグローバル度は?

日本企業はどちらかといえば、ヨーロッパ系に近いでしょう。ただ、これも徐々にグローバルな流れになってきています。日産自動車やソニーもトップは外国人がいたり、シャープは鴻海に入ったりと、今後はさらにグローバルな度合いが強まるでしょう。

読者の皆さんも、今、自分の会社はどのような位置づけにあるのか?ということを考えながら仕事をしてみてください。会社が求める人材像のグローバル度も読みやすくなるでしょう。

村上賀厚

村上賀厚(むらかみ・のりあつ)
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MBA)
マーケティングエージェンシーで市場調査分析売上モデル作成など、一般消費財メーカーの販促活動をサポート。その後、住友ビジネスコンサルティング等で、大手ゼネコン、電機メーカー、不動産開発会社および石油精製企業などへの処遇制度、人材開発制度、ホワイトカラーの生産性分析などの人事組織コンサルティングに従事。
イェール大学卒業後は、フォードジャパン人事課長、日本JDエドワーズ人事部長、日本モンサント人事総務本部長、ロイタージャパン人事本部長、GEコンシューマーファイナンス日本で人事本部ディレクターを務める。独立後はノリ・コーポレーション代取締役として、エグゼクティブコーチおよび人事・組織関連コンサルティングを行うとともに、収益不動産開発も手掛ける。
著書に『元・外資系人事部長が見た 要領よく出世する人』(東洋経済新報社)がある。