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知らないと大問題に!? 中国人にプレゼントしてはいけないもの

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2017年3月に発売した書籍『中国とビジネスをするための鉄則55』(アルク刊)から、これから中国とのビジネスを始めたい人、中国出張・駐在を控えている人たちに向けて、現地で役立つ情報をQ&A形式でご紹介します。第1回は「中国人への贈り物マナー」です。

中国とビジネスをするための鉄則55 (アルク はたらく×英語シリーズ)

中国とビジネスをするための鉄則55 (アルク はたらく×英語シリーズ)

 

Q 中国人に「時計」「傘」「扇子」をプレゼントしちゃダメってほんと?

A 「時計」は絶対に贈ってはいけない品物です。「傘」「扇子」も要注意。中国語の発音が不吉なことを連想させるからです

中国人への贈り物として「時計」を贈ることは厳禁です。中国ビジネスに携わる皆さんには、ぜひ知っておいていただきたい基本的なポイントです。掛け時計、置き時計、目覚まし時計など、時計は中国人に絶対にプレゼントしてはいけません。

時計は中国語で「钟」(ジョン)と言います。日本語では「鐘」という漢字です。掛け時計は「挂钟」(クワジョン)、置き時計は「座钟」(ズオジョン)、目覚まし時計は「闹钟」(ナオジョン)と言います。

「時計を送る(贈る)」という意味の「送钟」(ソンジョン)という言葉は、まったく同じ発音の「送终」(ソンジョン)を連想させます。この「送终」は「死者を弔う」「親の死に水を取る」という意味。大変不吉なことを連想させる言葉なのです。

たとえば、皆さんの家族や友人の結婚式の披露宴に、黒いネクタイをした人が来たら、皆さんはどう思うでしょうか? 「縁起でもない」「なんて失礼な人だろう」と思うのではないでしょうか。

中国人に時計を贈るということは、こうした為と同じです。相手を不快にさせる常識外れななのです。時計を贈るということは、日本人が想像するよりもっと深刻なダメージを相手に与えているかもしれません。

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知らずに「時計」を贈ってしまうと大変なことに

ある企業の赴任者研修でこの贈り物の注意点を説明していたところ、ちょっと青ざめた顔をした人がいました。「会社の設立記念に置き時計をプレゼントしてきたばかり……」というのです。

「そういえば中国側はうれしそうな情ではなかった」と漏らします。「あと一週間早くこの説明を聞いておきたかった……」と言っていましたが、後の祭りです。

これは「時計を贈ってはダメ」と知ってさえいれば、避けられたことです。知らなかったために起こしてしまったミスの典型的な事例ともいえるでしょう。中国ビジネスではこのように押さえておきたい基本的なポイントが結構たくさんあります。

中には「知らなかった」では済まされない常識の違いもあります。「当たり前」を疑ってみること、私たちが常識だと思っていることをもう一度疑ってみること、これは異文化理解の第一歩です。知ってさえいればコミュニケーションギャップを起こさずに済んだのです。

補足ですが、同じ時計でも腕時計を贈るのは大丈夫です。腕時計の中国語は「手」(ショウビァオ)と言います。この単語には「钟」(ジョン)という文字はありません。つまり、時計でもクロックがダメなのであって、ウォッチは大丈夫です。

「傘」や「扇子」も贈り物としてはふさわしくない

発音つながりで言うと「傘」や「扇子」も避けたほうがいい品物です。中国語の発音では「雨伞」(ユーサン)、「扇子」(シャンズ)と言います。これらの言葉は、中国語の「解散」(ジエサン)、「离散」(リーサン)の「散」(サン)という言葉を連想させます。

つまり、「散らばる」「ばらばらになる」「別れ別れになる」、さらに「関係が壊れる」「縁が遠のく」というマイナスイメージを連想させるのです。

日本でも結婚式で「終わる」や「別れる」といった言葉を避けたり、「終わり」と言わずに「お開き」と言ったり、言葉の使い方に注意を払います。これと同じように傘や扇子もマイナスイメージを連想させる品物として、贈り物としてはふさわしくない品物なのです。時計ほど深刻ではありませんが、やはり贈り物としては避けたほうがよいでしょう。

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ほかにも贈ってはいけない品物がたくさん

「ハンカチ」は涙を誘うのでダメ。涙は悲しいイメージを連想し、縁起が悪い品物ということです。恋人以外の男性に「ネクタイ」を贈るのもNG。これは首を絞める(相手を拘束する)ことを意味します。「靴」を贈るのは「厄介払い」を意味するのでダメです。

健康な人に「薬」をプレゼントすることも避けてください。これは病気になることを期待していると受け取られる恐れがあるからです。病人に「梨」もダメ。「梨」(リー)という発音は中国語の「离」(リー)という言葉を連想させます。「離れ離れになる」という意味で、つまり死を意味するので、病気のお見舞いには「梨」を持っていかないそうです。

もちろん地域によっても世代によっても違いがあります。中国どこでも同じというわけではありません。個人的な考え方の違いもあるでしょう。験(げん)を担ぐ人もいれば、まったく気にしない人もいます。ただ、ここで紹介したものは避けた方が無難でしょう。

Q お土産を渡すときに注意すべき点は?

A 「つまらない物ですが」と言って渡すのは相手の面子をつぶすことにもなるので要注意。お土産は一人に一つが基本原則です

訪問先にチョコレートやおせんべいなどの「お菓子」を買っていくのは一般的。皆さんも経験があることでしょう。しかし、中国ではこうしたお土産も渡し方によっては喜んでもらえたり、そうでなかったりします。注意を払うべきポイントがいくつかあるのでご紹介します。

まず気を付けたいのは渡すときの言葉です。中国出張で取引先の陳さんにお土産を買いました。中国人旅者に人気のスポンジ菓子です。

「陳さん、つまらない物ですが、どうぞ皆さんで召し上がってください」。これはお土産を渡すときに一般的によく使う言葉ではないでしょうか。日本人同士なら当たり前のように使う言葉です。しかし、相手が中国人の場合、「つまらない物ですが」という言い方はNGです。

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「とてもおいしいお菓子を陳さんのために買ってきた」と言って渡す

額面通りに受け取って、「どうしてつまらない物をわざわざ買ってきたのだろう」と不思議がる中国人もいます。すべての中国人がそうだというわけではありませんが……。

「つまらない物」と言うのではなく、「一番いい物」「最高の物」「あなたに最もふさわしい物」とストレートに言う方がむしろ効果的です。

たとえば、「このお菓子は本当においしいお菓子です。ぜひ召し上がってください」「私が選んだ一番のお勧めです。遠慮なくどうぞ」「一番喜んでもらえる物を一生懸命選んで買ってきました」など伝えるのです。

「あまり珍しい物ではありませんが」「お口に合うかどうか分かりませんが」「ゆっくりお土産を選ぶ時間がなくて、こんな物で恐縮ですが……」とついつい言ってしまうのが日本人。謙虚さは美徳と考えるのが日本人です。謙虚な気持ちをしたいのは分かりますが、こんな場面で日本人特有の謙虚さは不要です。

むしろこんな場面では、「私が自信を持って選んだお菓子ですから、絶対に陳さんの口に合うはずです」というくらいの表現をする方がよいでしょう。

陳さんにとってもっともふさわしいモノを選んできたこと、自分が勧める「最高の一番」の品物であること、これをストレートに伝えることが渡すときのポイントです。

お土産は基本的に一人に一つが原則

「皆さんで召し上がってください」も要注意です。中国では、「贈り物」とは基本的に「個人」が「個人」にプレゼントするもの。お土産は「私」が「陳さん」にプレゼントするものです。日本人同士なら「皆さんで召し上がってください」という言い方は一般的ですが、この場面では「陳さん、ぜひ召し上がってください」と言って渡すべきです。

つまり、「皆さんで召し上がってください」と言うことは「あなたにあげるのではなく、皆さんで食べるものですよ」という意味になり、陳さんの「面子」をつぶすことにもなりかねません。

「これは陳さんに買ってきたとてもおいしいお菓子です。陳さん、ぜひ召し上がってください」でいいのです。お土産を受け取った陳さんが、「ありがとうございます。せっかくですからスタッフ全員でいただきましょう」と言ってみんなに配るかどうか、これは陳さんの判断です。

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しかし、もしも本当にみんなに食べてほしいと思うなら、基本的にお土産は一人一つが原則です。相手のスタッフの人数分を買っていくべきでしょう。三人なら三つ、五人なら五つのお土産を準備するべきです。逆の立場で考えてみた場合、日本で中国からお客さまを迎えるとき、われわれは中国の方々から「皆さんで召し上がってください」というお土産を受け取ったことがありません。日本側のスタッフ全員に必ず一人に一つずつお土産を買ってきます。

では、たとえば相手が十人いたら十個、二十人なら二十個準備しないといけないのでしょうか。実はそういうわけではありません。お土産とは相手の地位、相手との人間関係、二人で取り組んでいるプロジェクトの重要性など考慮して必要な人に必要なタイミングで、二人の関係に見合った品物を準備すればよいのです。全員に平等に買っていく必要はありません。

お土産の渡し方でもこんな違いがあります。知ってさえいればすぐに実践できることです。ぜひ皆さんも参考にしてください。

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文:吉村 章
1961年生まれ。87年から台湾でビジネスマン向けの日本語教育に携わり、96年台湾最大のIT関連業界団体、Taipei Computer Association(TCA)へ移籍。同年、駐日代として帰国。2001年からは中国に進出する日本企業支援が業務の柱となり、現在に至る。中国への出張者・赴任者向けの異文化研修や地方自治体向けの海外市場開拓セミナーの講師を務めるなど幅広く活動。『知識ゼロからの中国ビジネス入門』(幻冬舎)、『中国人とうまくつきあう実践テクニック』(総合法令出版)など著書多数。ASIA-NET、株式会社クロスコスモス代取締役、TCA東京事務所駐日代。ホームページ:ASIA-NET