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Let's do this! 最終にして最強の練習法「カタカナ英語」をやってみよう

カタカナ英語

海外の学会に出席するような科学者といえば、留学歴のある方も多そうだし「日常会話はもちろん、専門的なテーマについて英語でペラペラ話しているんだろうな」と思いませんか。実は、そうとも限らないようです。今回紹介する『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』の著者、池谷裕二先生。脳科学者である池谷先生も、2002年に渡米したときは言葉の壁にぶつかったとか。

もともと中学・高校と英語は苦手科目。TOEICTOEFLも受けたことがなく、下手な英語を人に聞かれるのが嫌で、英会話スクールに通おうと思ったこともなかったそうです。

初めて通じた「ハゼゴン」とは?

ニューヨークへ来たものの・・・

そんな池谷先生が渡米したのは32歳のとき(失礼ながら著者プロフィールから勝手に計算しました)。「アメリカで展開されている最前線の脳研究をこの目で見てみたい。できるならば最先端の研究に参加したい―」そう夢見てニューヨークへ。しかし、地下鉄の乗り方がわからない、注文しても希望通りの料理が出てこない、という具合に日常生活でも苦労する羽目に。30歳を過ぎてほぼゼロから英会話を習得するのは、なかなか厳しいものがあります。

「ハゼゴン」で目からウロコ

ところがそんなある日のこと、ある朝、出勤してきた同僚から「ハゼゴン」と話しかけられ、ハッと気が付いたのだとか。同僚はこう言っていたのです。

How is it going?

(元気かい?)

“How is it going?”という4単語が、ネイティブの発音では「ハゼゴン」になるのです。

それに気づいた池谷先生は、会う人ごとに「ハゼゴン?」と声をかけてみました。すると誰もが笑顔を返してくれるではありませんか。学校で習った発音と、ネイティブが実際に使う発音があまりに違うことに驚いた池谷先生は、「自分の英語はどこがおかしいのか、どうすれば直るのか」と考え続け、3つの結論にたどり着きます。

 

結論1】私にはカタカナ発音しかできない。これは「日本人として生まれ育ったのだから、今さら英語特有の発音を身につけようがない」という科学的根拠からくる諦念です

 

結論2】それゆえに私の発音は本来の発音からひどくかけ離れたものであって、アメリカでは通用しない

 

結論3】しかし、 私のカタカナ発音を別のカタカナに置き換えることによって、多くの場合は通じさせることができる

特に重要なのが「結論3」。あきらめかけていた英語が、努力次第では通じるようになるかもしれないのです。そこで、カタカナ発音を丹念に調べ上げ、さらにアメリカ人の同僚に付き合ってもらって念入りに修正し、ついに「カタカナ発音の法則」をまとめあげます。それをもとに書き上げたのが本書というわけです。

ぐっと英語らしくなるカタカナ発音

ローマ字読みはNG

「でも中学生のとき、教科書の英文にカタカナを振っていたら先生に怒られたんだけど」という方、いるでしょう(私もです)。

それはおそらく、“animal”に対して「アニマル」と振るようなローマ字読みの書き方だったから。本書いわく「割り当てるカタカナが間違っている」という状態だったのです。池谷先生がすすめるのは“animal=エァネモウ”というネイティブの発音により近い表記。字際に口に出していってみると、かなりネイティブっぽい発音になることが実感できます。本書の「実践編」で紹介している文を、いくつか紹介しますね。○のほうを、ぜひ声に出して読んでみてください。☓が日本人がやりがちなカタカナ英語、○が池谷先生おすすめの読み方です。

Just a little.

 

(ちょっとだけ)

☓ジャスト ア リトル

○ジャスタリウ

○のほうなら普通にカタカナを読み上げるだけで、かなり英語らしい発音ができたのでは?

では、道を教えてあげてお礼を言われたらどうしましょうか。

Not at all.

(どういたしまして)

☓ノット アット オール

○ナラローウ

いかがですか?かなりそれっぽいがしませんか?池谷先生によれば「ナラローウ」はネイティブの発音にかなり近いので、このままカタカナ読みするだけでほとんど通じるとか。

さて、すれ違いざまにぶつかってきた外国人が、ちゃんと謝ってきたとしたら?こちらもひと言返してあげたいですね。

Don’t worry about it.

 

(気にしないで)

☓ドント ウォーリー アバウト イット

○ドンウオウリアバウレッ

日本人は“W”の発音が苦手ですが「ウオ」とすればかなり通じるとか。また、“Don’t worry.”だけだと「気にすんなよ」というぶっきらぼうなニュアンスになってしまうので、“about it”は必ずつけたほうがいいそうです。

ほかにもこんな文紹介されています。○のほうを声に出して読んでみると、ネイティブ気分が味わえますよ。

I am not sure.

 

(ちょっとわかりませんね)

☓アイ アム ノット シュア

○アイナッシュオ

Say it again.

 

(もう1回言ってください)

☓セイ イット アゲイン

○セイーラゲン

A couple of minutes.

 

(ちょっとまって)

☓ア カップル オブ ミニッツ

○アカプラメネツ

口に出すうちに楽しくなってくる!

○のほうをカタカナ通りに読んでいると、自分が英語をスラスラ話せるような気分になってきます。そしてなんだか、楽しくなってきませんか。池谷先生がすすめるカタカナ英語がどんなものなのか、だいぶつかめてきたはず。とはいえ、「これならラクラク」とはいきません。本書では合計59の文を紹介していますが、池谷先生は、それぞれ70回ずつ口に出して練習するようアドバイスしているのです。本書は読本ではなく、あくまでもドリルだと池谷先生。「流し読みをするだけでは期待した効果は得られません。時間をかけてじっくりトレーニングを実践してほしいと思います」

負荷の高い学習ほど成果が上がる

「学習における望ましい困難」!?

「カタカナ英語ならラクチンそう!」と思った人はショックかもしれませんね(私もです)。でも、池谷先生のアドバイスには理由があるのです。それが「学習における望ましい困難」という考え方

カリフォルニア大学の心理学者、ビョルク夫妻による論文によれば「学習はつらいほうが深く定着しやすい。楽に学んだことは、砂に書いた文字のようなものだ」。テキストを黙読するより音読したほうが、さらにノートに書き写したほうがよく覚えられる気がしませんか。これは後者であるほど負荷が高いから。さらに、テキストをくり返し読むよりも、テストを受ける(想起する)ほうが定着するそうです。困難な目にあったほうが学習内容が身につくんですね。池谷先生はこう言ってます。

学習には長い鍛錬が欠かせません。効率的な方法を模索し始めた時点で敗者確定です。カタカナ英語は、英語が苦手な人には「手軽な方法」に思えますが、本気で勉強しようと考えたら、1日70回の練習を何日も繰り返す必要があります。

敗者確定ですか・・・。温和な雰囲気に似合わず厳しいことをさらっとおっしゃる池谷先生。しかし、やや涙目になりつつ実際にやってみたところ、長めのフレーズでも70回くり返すのに3分もかかりませんでした。10フレーズ練習しても30分。「通じる英語を身に着けたい」と思うなら、これくらいはがんばれるのでは。負荷の高い学習法のほうが定着するというなら、やるしかありません!

語学はコツコツ続けるのが続けるのが一番

語学とは、重き荷を負いて遠き道をくがごとし。なかなか大変ですが、外国人とわかりあえたり、自分の世界が広がったりしたときの喜びは格別です。「聞き流すだけでネイティブに!」というキャッチコピーは幻想だと思って、コツコツがんばるのが一番のようですね。年末年始に海外旅予定している方、来年こそ英会話に強くなりたいと思っている方、ぜひ本書で、「怖いくらい通じるカタカナ英語」にトライしてみてください!

浦子

構成・文:浦子
GOTCHA!のエディター兼ライター。ずっと停滞しているTOEICのスコアを来年こそはあげたい!