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英語、仕事、勉強。いろんな「わかった!」をお届け。

英語力よりも大事な「プロトコル」の話[外資ワークの真実 01]

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アルクの新刊(2017年1月)『 英語転職の教科書』のエッセンスをご紹介します。

外資で働く実務家は「英語」とどう付き合っているのか?

外資系企業というとついて回るのがまさしく英語です。日本にある外資系企業には少なからず外国人がいることがあり、彼らは日本法人では上級管理職のポジションをもっていることも多いですから、英語は、組織の中である程度上がっていくためには不可欠なツールと言えるでしょう。

この英語というハードルを感じるために、外資系企業に対する敷居を高く意識してしまっているケースをよく見かけます。

実際の英語に関するアドバイスはアルクも含め本も大量に出ており、私が口をはさむ余地はないとは思いますが、実務家としてどんな工夫をすれば英語にとっつきやすくなるのかはご提供できます。

ビジネス英語はストックフレーズの塊

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まず重要なのが、ストックフレーズ、つまり、決まり文句をたくさん覚えることです。

例えばメールで何か情報が送られて来たら、まずはThank you for your information」から始めればいい訳です。日本語で言う「ご連絡ありがとうございます」みたいなものです。

そして意見を求めているものであれば、まずいいたいことの数を挙げて「I think we have three issues. Firstly, …」といったように書いていけばいいわけです。また、反対意見を述べる時にも便利なのは「I do not think so because …」でいくと柔らか感があります。

アメリカ人は Sorry と言わない」という嘘

外国人、特にアメリカ人が「Sorry」と言わないというのは嘘です。ちゃんとした人、ポジションの高い人の方が間違っていると思ったらすぐに謝罪するし、自分の意見を述べた後「My idea may be wrong. What is your thought?」と聞いてきます。これらはある意味決まり文句として覚えておけばいい訳です。

電話は決まり文句の典型

電話などは決まり文句の典型です。相手の見えない電話だと恐怖心が出ますが、そもそも日本語でも決まり文句しか話していません。お客様でしたら「お電話ありがとうございます  Thank you for your phone call」から始まるでしょう。

不在であれば「今席を外しております。折り返しお電話をかけさせましょうか? I’m sorry, but he is away from office. Shall I have him call you back?」出張中だけでメールの確認はできる状態にあるなら「I’m afraid he is on a business trip. Although he won’t be back until the coming Monday, I think he can access email during the trip」でもいいでしょう。

この辺りのパターンを10~20くらい電話の横に書いておけばそのうち覚えてしまいます。外国人はスピーチがうまい!というのも同様で、出だしのいくつかのパターンを覚えているかどうかなのです。うまい人のスピーチを覚えて真似るのでもいいでしょう。

長く書きましたが、これ以上は他の書籍に譲るとして、要は英語に対するバリアーのほとんどはストックフレーズを覚えることによって解決できるということです。

外国人上司のプロトコルを把握する

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英語とともに、あるいは英語以上に重要なのが「プロトコル」の把握です。うまく外国人とコミュニケーションをしている日本人を見ると、英語の巧拙はともかく、非常に上手に彼らのプロトコルを押さえていることに気づきます。

具体的には「結論から先に言う」がプロトコルのひとつです。今では日本企業でも当たり前のように言われていますが、徹底の度合いはまだまだ異なります。

悪い話こそ先に報告する

悪い結果の場合言い訳が先に立ちがちですが、それをやると逆効果です。好まれる報告は「ターゲットは達成できていません。原因は○○と△△です。次に、◇◇の方策を採ろうとしているので、90%までけると考えています。100%までには□□のサポートをいただきたい」といった具合です。

結論先に言い、分析加えて、新たな手を打とうとしている。そして、必要なサポートは何か、ということを言えば上司も非常にやり易いわけです。

これは外国人であろうが日本人であろうが関係ないことだと思うのですが、私のこれまでの経験では、外資で働く人の方がうまいと言えそうです。

100点を2つではなく、70点を3つとる

次に、完璧主義は不要ということです。匠の世界に拘り最善を突き詰めようとする姿勢は、我々日本人というかその風土の良いところでもあるのですが、もっと費用効果、効率性というものを重視したスタンスが求められます。

ざっくりとした成果を出しながら走りながら考えるようなスタンスです。100点を二つ取るよりも、70点を三つ取る方が合計点数は多い訳です。取り敢えず70点をとり、そこから徐々に上げるのです。上司を不安にさせないように、発生するリスクを事前に捉えて対応策を考えておくことも必要になるでしょう。

正確性はコストである

最初に何点を取らなければならないかは、業界や職種によります。自動車業界や電力、鉄道などで安全に関するところを担当する部門は100点を目指すでしょう。ただ、そのため非効率になり過ぎると、過剰品質という言葉もあるように経営が成り立たないのも事実です。

例えば、日本の電車運システムは世界に冠たるものです。運にかかわる人たちの教育も徹底的にい、そもそも事故を起こさないというスタンスです。これが日本人の正確性です。

一方で、ヨーロッパのそれは「事故は起こる前提で、電車の車体の強度を上げておいて人命を守る」といったものです。こちらの方が、誰でも運用できてコスト的に安くなるというのです。実際の話として、日本の電車運システムをアジアで売り込むのに、このヨーロッパのスタンスに対して結構苦労したということでした。

キーワードは費用効果と客観性

100点を目指す姿勢を否定するものではありませんが、やみくもな完璧主義でなく、費用効果考えながら進んでいくことが、外資系企業では強く求められます。

我々日本人も日系企業も、匠の世界を極めようとする完璧主義の良さを知りながらも、悦に入るのではなく客観的に費用効果の重要性にもっと目を向けていく必要があると考えます。

外資系企業で成功するプロのサラリーマンになるには、英語を磨くこととともに、外国の会社のプロトコルを十分に把握して仕事をすることも求められるのです。

村上賀厚

村上賀厚(むらかみ・のりあつ)
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MBA)
マーケティングエージェンシーで市場調査分析売上モデル作成など、一般消費財メーカーの販促活動をサポート。その後、住友ビジネスコンサルティング等で、大手ゼネコン、電機メーカー、不動産開発会社および石油精製企業などへの処遇制度、人材開発制度、ホワイトカラーの生産性分析などの人事組織コンサルティングに従事。
イェール大学卒業後は、フォードジャパン人事課長、日本JDエドワーズ人事部長、日本モンサント人事総務本部長、ロイタージャパン人事本部長、GEコンシューマーファイナンス日本で人事本部ディレクターを務める。独立後はノリ・コーポレーション代取締役として、エグゼクティブコーチおよび人事・組織関連コンサルティングを行うとともに、収益不動産開発も手掛ける。
著書に『元・外資系人事部長が見た 要領よく出世する人』(東洋経済新報社)がある。